猛暑の真夏も徐々に暑さが弱まっているように感じる今日この頃です。みなさま、お元気に音楽と対話していらっしゃいますか?本研究会も、徐々に会員が増え、現在30名に届くほどになっています。地味ではありますが、定期的に勉強が続けられましたらうれしいです。
第2回のベートーヴェン学術研究会が、9月9日(土)14:30~に迫ってまいりました。
今のところ、ベートーヴェンに関する、「悲愴」と「熱情」の予定通りの発表と演奏です。私も発表を前に準備を進めています。オンライン開催ですので、全国、全世界(大げさですね))どこからでもご参加できます。どうぞご一緒に音楽について語り合いましょう。
6月に日本音楽表現学会で研究発表をして来ました。ベートーヴェンの日記にある、哲学的知見が後期ピアノソナタ、今回は、作品106「ハンマークラヴィ―ア」の特に第三楽章のまるでショパンのようなロマン性との関連について発表しました。私は今まで、後期ピアノソナタについて、いろいろなアプローチをしてきましたが、「ハンマークラヴィ―ア」だけは、避けていました(汗)。あまりにも壮大で複雑、演奏も困難という高いハードルを越えることができなかったからです。しかし、今回の研究テーマでは、この曲に挑まなければ、ベートーヴェンのインド哲学やヘルダー、カントなどの知見の関連性が見出せませんでした。今年前半は、「ハンマークラヴィ―ア」のフーガではなく、第三楽章に魅せられていました。
この学会では、他にもとても興味深い発表にも出会いました。私が留学中の1980年代にザルツブルクのコンクールメーカーと言われた、ハンス・ライグラフ氏の教育法をDVDを基に見直すというものや、オーストリアの詩人が日本の和歌をドイツ語に翻訳し、それに音楽をつけた楽譜が数多く残っている研究など、考えもしないテーマが飛び出し、学会の面白さを痛感しました。ライグラフは、私の世代ではかなり有名で、留学時代はまだ、20代でこちらも若かった(笑)ため、当時はこぞってライグラフのレッスンを受けに行ったり、夏期講習などを受講する学生がたくさんいました。あれから40年以上が過ぎ、今の若い研究者がライグラフの教育法を研究していることも、音楽は途切れることなくつながっていることを実感し、うれしい気持ちになりました。
ベートーヴェン学術実践研究会も、研究と実践を少しでも融合し、演奏に結び付けたり、知見を広め良き聴衆として音楽が聴けるように進化できる場となればいいなあ…とひそかに目論んでいます。
9月9日、みなさまにお目にかかれますこと、今から楽しみにしています。
BAPS会長 深井尚子